着物の染め方には、「友禅」と「インクジェット」の２種類があります。

「友禅」とは、職人が１点１点手仕事で、染色していく江戸時代から伝わる伝統的な技法です。「インクジェット」とは、プリント印刷のように一度に大量生産していく技法です。

友禅の技法は、熟練した職人の高度な技術力が必要なうえ、職人の絶対数も減少していることから、友禅の着物は徐々に減っており、現在だと、大量生産されたインクジェットの着物の多く流通しております。

振袖ですと、レンタルのものやチェーン店でパッケージとして安価に販売されているもののほとんどはインクジェットの着物であることが多いです。同じ振袖を大量に作ることによってコストを下げています。

それでは、友禅とインクジェットの１番の違いはなにか？

それは「品質」です。

インクジェットの着物は、染めの手段がただのプリント・印刷なので、色に「奥深さ」が出ません。また、印刷にかけるという工程があるため、厚手の生地のものは少なく、薄いペラペラした生地のものが多いのに加え、生地の裏には色が浸透していかないので、裏が白くなることが多いです。（最近では、インクジェットということを誤魔化すために、敢えて裏にも印刷をかけ、手仕事で染めているようにみせる着物も出てきています）

一方、友禅でつくられた着物は、「奥深さ」「躍動感」「美しさ」が自然に出てきます。職人が長い時間をかけて仕上がった着物はまさに芸術品・作品です。生地がペラペラではなく、重厚感があるということもありますが、一番の違いは、染め上がった着物の「奥ゆかしさ」です。職人が１つ１つ時間をかけて作り上げた着物をご覧になられて、涙する方もいらっしゃいます。これは、プリントで大量生産されたインクジェットの着物には出せない着物本来の味だと思います。

絵画を例にすると、「油絵の絵画」と「プリント印刷されたポスター」でしょう。

２つの絵は一見同じように見えるかと思いますが、価値はまるで違います。油絵の絵画は、作品者の技術や思い、ストーリーのすべてが表現された作品です。一方、ポスターは、大量に刷られた多数ある中の１つです。素人からすると何が違うのか分からないという場合もあるかもしれませんが、玄人から見れば一目遼前です。そんな違いが、着物の染め方にもあるということです。

もちろん、インクジェットの着物は、色の組み合わせが自由自在で、はっきり色の違いを出せるというメリットもありますので、粗悪な着物という訳ではありません。

しかし、高価な値段で、インクジェットの着物を買われるのはもったいないというのが本音です。

お宮参りや、七五三の祝い、成人式は日本の民族衣装を身にまとう代表的な行事です。
成人式に行ったら友人と同じ振袖を着てる！なんてこともあります。
人生の節目に選ぶ一枚は最良の品をお持ち頂きたいと思います。

事実、孫の七五三の着物をインクジェットの着物にしてしまったことを何年経っても後悔される方もいらっしゃいます。

一生に一度のものだから、形に残るものだから、弊社はインクジェットの着物を一切取り扱うことはしません。

1955年に創業してから呉服業界で歩んできた誇り・プライドがあります。

是非、弊社に大事なお着物のご相談を頂ければ幸いです。

何年経っても後悔しない、自信をもって着られる着物のみをご案内致します。

※友禅を模した模様がプリントされた着物を友禅という名称で販売されることが多くありますので、注意が必要です。